日本酒は、牛乳などと同じく、新鮮さが命であるため、生酒はもちろんのこと、そうではない火入れをしてある酒であっても、原則的には出荷後はできるだけ早く飲んだほうがよい、と一般に言われている。しかしじつは、これは主に酒蔵側の主張にすぎない。蔵元と密着して執筆活動を営んでいる酒類評論家も、たいていこの立場を取る。
しかし一方では、開封さえしなければ、たいていの酒は買ってから自分の手元で手軽に熟成させうると主張する者が、流通・販売・消費者の側には多く存在する。
「早く飲むべきである」と言いつつも、酒蔵側が出荷前に熟成の期間をおく理由は、貯蔵・熟成の期間をおいて最高の酒質になったときを見計らって出荷するからである。だから、酸敗などの危険をさておけば、酒蔵が意図したコンセプトを味わってもらうために、自然と「出荷後はできるだけ早く飲んでほしい」と言うことになる。
しかし酒蔵の意図したコンセプトが、必ずしも消費者、とりわけ熟達した飲み手の嗜好に合わないこともある。こういうときには、しばらく自宅で寝かせて(貯蔵・熟成させて)みて、もっとおいしくなることもある、というわけである。わかりやすく言えば、料理人が「これは何もかけないでこのまま食べてみてください」と言って出してきても、グルメは一口食べて「やはりこの方が私は」と言って柚子を垂らしたり、自分の側でひと手間かけることもある、というわけである。
食との相互補完 [編集]
滋賀県の鮒寿司のように、その地方の基本的食品がある一定の期間の貯蔵・熟成を経てから食べられる土地などにおいては、食品が熟成する時間と同じだけの時間が、酒質の完成にももとよりかかるように醸造される酒もある。つまり食と酒を同じ時期に仕込み、同じ年月を隔てて同時に食べるわけである。こういった熟成は、まさに食文化の基礎にある相互補完という地酒の原点を物語るものである。
新酒・古酒・秘蔵酒 [編集]
日本酒は、毎年7月から翌年6月が製造年度と定められており、通常は製造年度内に出荷されたものが新酒と呼ばれる。 しかし最近は、上槽した年の秋を待たず6月より前に出荷する酒に「新酒」というラベルを貼って、ひやおろしから差別化して新鮮さをアピールする酒が増えたために、「新酒」の定義に混乱が生じつつある。
テニス
セキュリティ
花火
仏教絵画
東北地方
壁画
日用品
セパタクロー
印刷
水球
アスペルガー症候群
学習塾
ベリーダンス
北陸地方
水彩画
恐竜
水墨画
両生類
ジオキャッシング
アニマルセラピー
また古酒に関しても、酒類評論家のなかには「5年以下は古酒と認めない」という立場をとる人もおり、明確な定義が確立されているわけではない。
なお、蔵元のなかには西洋のワインにおけるヴィンテージという考え方を導入し、ラベルに酒の製造年度を明記しているところもある。熟成することによって味に奥行きが出るように造るこうしたヴィンテージ系日本酒は、熟成期間の長いものでは20 - 30年にも及ぶ。
ひやおろし [編集]
ひやおろしとは、冬季に醸造したあと春から夏にかけて涼しい酒蔵で貯蔵・熟成させ、気温の下がる秋に瓶詰めして出荷する酒のことである。その際、火入れをしない(冷えたままで卸す)ことから、この名称ができた。醸造年度を越して出荷されるという意味では、ほんらい古酒に区分されることになるが、慣行的に新酒の一種として扱われる。
大古酒 [編集]
大古酒(だいこしゅ / おおこしゅ)という語に関して、現在のところ明確には定義されていない。しかし概して「大」が付くにふさわしい、桁違いの熟成が求められる。1968年(昭和43年)に開封された元禄の大古酒のように279年まで行かなくとも、熟成期間100年を超した年代ものは一般に大古酒と呼ばれる。
割水 [編集]
割水(わりみず)とは、熟成のための貯蔵タンクから出された酒へ、出荷の直前に水を、より正確には加水調整用水を加える作業をいう。加水調整(かすいちょうせい)あるいは単に加水とも呼ばれる。ちなみに焼酎の製造過程では、まったく同じ工程を和水(わすい)と呼んでいる。
この工程の目的は、酒のアルコール度数を下げることにある。醪(もろみ)ができた直後には、ほとんどの酒が並行複発酵により20度近いアルコール度数となっている。アルコール度数の高いほうが腐敗の危険が少ないので、貯蔵・熟成もこの20度近いアルコール度のまま行なわれる。出荷するときには酒税法の規定との兼ね合いもあり、また消費者が低アルコール度を好むという事情もあって、目的とするアルコール度数まで下げる必要がある。(「低濃度酒」参照。)
いっぽう、割水をしないで、醪ができた時点のアルコール度のまま出荷した酒のことを原酒(げんしゅ)という(ただし、アルコール度数の変化が1%未満の加水は認められている)。 原酒というと、一般的にはその酒の元となった醪や酵母を使った本源的な酒、あるいは何かどろっとした濃いエキスのような酒がイメージされるようであるが、実際はそういうものではない。ただ、割水をしていない分、一般酒よりもアルコール度数が高めであることは確かである。